topic2 GeOのエコロジー健康靴が製造中止に  
エコロジー先進国ドイツでも特別扱いされていたGeOマークのマンフレット・エルゴット社が、とうとう生産を中止しました。  
100%植物タンニンなめしの革が入手し難くなったのに加えて、最近のドイツでは省クロムなめしや合成タンニンなめしの革が、安価な「エコロジー」として普及し、数年前には「エコロジー靴ならGeO」といわれていた状況も様変わりしてきました。その結果、大量に出回る安価な「エコロジー」靴に押されてGeOへの需要が激減してしまい、売れ残りが出るようになりました。
そこで、エコロジーを生活規範としている社長のエルゴットさんは、貴重な素材で丁寧に作られる靴を、売れ残ったからといって不良在庫として処分するようなことはできないとの信念から、本物の靴が求められるようになるまで生産を中止することにしました。長年かけて確保した良質の100%植物タンニンなめしの革は、まだ相当量あるそうですが、確実な受注が来るまで生産を見送るというのです。  
残念ではありますが、エルデだけでまとまった数を注文することはできませんので、今後入荷の見通しがつかなくなり、サイズのそろった在庫も少なくなってきました。
しかし、私たちも、エルゴットさん同様、どんな理由があるにせよ、このGeOの靴を不良在庫として処分するようなことはできません。この靴の持ち味を理解してもらえる人の足に最後のひとつがフィットするまで、持ち続けるつもりです。  
vol.17(2003年6月10日)より
topic4子供にサンダルを履かせても大丈夫 ?
足が蒸れるので夏にはサンダルやゴムぞうりを履かせたいけれど、足のためには良いのでしょうか ? こんなお問い合わせが増えています。
バックベルトのデザインや、ゴムぞうりタイプは、踵のホールドが全くありませんから、固い路面を歩く時にはお勧めできません。また、柔らかいソールのものが多いので、すり減りも早く、フワフワして足を支える機能も劣ります。踵を支えるしっかりした作りのサンダル、布靴、また、アーチサポートのついたサンダルなどを履かせてあげましょう。
もちろん、土の上や芝生、砂場では、裸足で走り回るのが理想です。
vol.17(2003年6月10日)より
topic5IVO世界大会の報告
4月26日・27日に国際整形外科靴技術者連盟(IVO)の世界大会が、池袋のサンシャインシティーで開催されました。  
ドイツのマイスターを中心に、デンマーク、スイス、オランダ、フランス等々から100人を越える整形外科靴技術者が参加しました。日本からは、ドイツ整形外科靴技術を学んでいる私たち以外に、義肢装具士や整形外科医や理学療法士等の皆さんも多数参加されました。  
大会では毎回発表しているショットさんですが、今回は、自分が現在行なっているオーストラリアでの公的機関と連携した技術普及活動について報告しました。私は、制度がなく、公認の技術者のいない日本で、ショットさんの技術を多くの人たちに提供するためのエルデの仕事について発表しました。 IVO世界大会の開催に協力して下さった各分野の皆さんが、大会の成功を契機に、この技術の日本での本格的な普及のためにご尽力下さることを願わずにはおれません。
vol.17(2003年6月10日)より

topic7変わるドイツ事情
「徹底的なこだわり」を売り物にしていたドイツのモノ作りが、変わりはじめたようです。先月閣議決定され、現在審議中の法案では、手工業マイスター94職種のうち65職種、衛生管理などの安全維持にかかわる分野を除くほぼすべての職種が廃止されることになります。ドイツの「こだわりのモノ作り」を支えてきた、中世以来の伝統的マイスター制度がなくなろうとしているのです。  
その背景には、激しい国際競争の中で、コストのかかる「職人芸」を見直さざるをえない大手企業のグローバル戦略があるようです。「ドイツ製は高価だが品質が最高」として、ドイツ人だけではなく世界中が受け入れる時代は過去のものになってしまった、ということなのでしょう。  
そしてこのことは、戦後半世紀にわたって強固な福祉社会を実現し、公平、正義、環境等々の人間性にこだわる豊かな社会をめざし続けたドイツ社会の変化とも連動しているように思えます。GeOの靴が売れなくなったのも、また、ショットさんが選んで私たちが使っているドイツ製の靴の品質が年々低下してきているのも、さらに、数年前にはほとんど見られなかった機能性に問題のある安価なスニーカーがドイツの靴屋に溢れている光景、……等々も、すべてひと繋がりのことなのかもしれません。  
整形外科靴マイスターのような、医療と直結した分野は当然今回の対象外でしょうが、このドイツ社会の大きな変化は、私たちが依拠しているドイツ整形外科靴技術にも徐々に影響を与えてくるものと思われます。
vol.17(2003年6月10日)より
topic8ニュースの発行がひと月遅れてしまいました。。。
ニュースの発行がひと月遅れてしまいました。IVOの大会に参加したり、ドクターに招かれて毎月一回病院へ出向いたり、NPO主催の無料相談会に出かけたり……、今までとは違った仕事が増えたからといって会員の皆さんにご迷惑をおかけしてはいけない、とスタッフ一同気を引き締めております▼今年は、年の初めから世界も日本も暗い出来事が多く、とても春を楽しむような気分にはなれませんでした。訪独の折にマイスター学校の先生が「自分達の技術は昔は戦傷者のためのものだったが、冷戦が終わったこれからは、もうそんなことにはならない」と語っていたのが、むなしく思い出されます▼神戸の被災地支援をきっかけに本郷で始めて六年半、西落合に移って三年になりました。初めての商品入れ替えの在庫一掃セールです。この五〜六年の間に、靴をめぐる状況は、ドイツでも日本でも大きく変わってきました。どんなに状況が変わってもエルデの仕事の質は不変ですが、提供する靴は変わっていきます▼エルデの新しい靴をお楽しみに。
vol.17(2003年6月10日)より

topic8 安ければよいのでしょうか?
ある日本企業が1足90円のスニーカーを中国で作っている、という記事が朝日新聞に載っていました。
中国の農村部の低賃金労働を利用して野菜や日用品が作られ、安いからという理由だけで日本の消費者が飛びつき、その結果、競争に負けた国内の産業が衰退し、使い捨てで大量のゴミが出る……
私たち皆が、深刻に受け止めなければならない問題ですが、足と靴の問題としても、これは見過ごすことのできない事態です。
低価格を実現するために、構造を極力単純にし、格安の素材のみで作れば、格好は「靴」でも、およそ「靴」とはいいがたい代物にならざるをえません。靴は、全体重を受け止め、体を支え、足を運ぶための道具。硬い道を歩くためには、しっかりと骨格を支え、衝撃を吸収する機能を備えた靴が必要です。
はいている感覚のない超軽量のふわふわしたスニーカーは、「軽くて楽な靴」と思いがちですが、足のバランスを失い、膝、腰など体全体に悪影響を及ぼします。軽い靴ばかりはくうちに筋力も衰え、弱い靴底は足や体の歪みに応じて磨り減ってしまい、ますます足のトラブルを増幅します。
安いものが追い求められる風潮の中で、偽装表示や禁止薬品の使用等々の違法行為がまかり通る昨今、「安ければよい」ではなく、「安いから問題があるのではないか」と疑ってみることが、私たちの健康や環境を守り、人間的な暮らしをつくることにつながるのではないでしょうか。
vol.15(2002年9月20日)より